語句のまとめ と 基本的な計算

\(\)下記の用語は,試験では説明なしに使われるので覚えて下さい。(問題練習をこなせば,自然に覚えてしまうと思います。)

語句 概    説
単項式 数や文字について,乗法だけで構成される式
多項式 複数の単項式を,加減法で結合した式
多項式における,それぞれの単項式
次数 単項式では,掛けられている文字の個数
多項式では,各項の次数のうち,最大のもの
同類項 多項式で,同じ文字 で 同じ次数 の項で,同類項はまとめることができます。(2a + 3a = 5a : 2個の a と 3個の a を足すと5個の a)
分配法則 多項式が,別の多項式または単項式と,掛け算で結合しているとき,元の多項式の各項に,別の多項式または単項式を掛けたものを,加減算した式に変形できるというものです。文章で書くと分かりにくいので,式を示します。

\(a×(b+c)\:=\:a×b\:+\:a×c\)

\((a+b)×c\:=\:a×c\:+\:b×c\)

\((a+b)(c+d)\:=\:a×c+b×c+a×d+b×d\)

 

例題
  1. 次の式の同類項をまとめなさい。
    ① \(\:6x + 2 – 8x + 3\)
    ② \(\:\frac{2}{3}x^2 \:-\: y + x^2 + 5y\)
  2. 次の計算をしなさい。
    ① \(\:4(a+2b)\)
    ② \(\:12(\frac{a}{3}\:-\:\frac{b}{4}+\frac{c}{6})\)
    ③ \(\:(-15a^2b)÷3ab^2\)
1.
① \(\:6x と ( -8x)\),および,\((+)2 と (+)3\) はそれぞれ同類項なのでまとめることができます。このとき,同類項の係数同士を計算します。
→ \(\:6x – 8x + 2 + 3 = -2x + 5\)
② \(\:\frac{2}{3}x^2\:と\:x^2\),および,\(-y\:と\:5y\)の項をまとめます。
→\(\:\frac{2}{3}x^2+x^2\:-\:y+5y\:=\:\frac{5}{3}x^2+4y\)
2.
① 分配法則を使って,かっこ を外します。
\(4×a+4×2b\:=\:4a+8b\)
② 約分できれば約分します。
→ \(\frac{12a}{3}\:-\:\frac{12b}{4}+\frac{12c}{6}\:=\:4a\:-\:3b + 2c\)
③ 割り算は分数で表し,数値,文字(式)ともに約分します。
→ \(\:\frac{-15a^2b}{3ab^2}\:=\:-\frac{5a}{b}\)
文字式の計算の基本
  • 同類項はまとめる。
  • 四則演算が混ざった計算は分配法則を使って かっこ を外して,同類項をまとめる。
  • 式に割り算が含まれるときは分数の形で表し,(数値,文字ともに)約分できるものは約分する。
  • 文字は(基本的に)辞書順に記述する。

式の計算(値の計算)

ここでは,文字式に値を代入する方法を説明します。

式の値の計算
  • 文字式をできるだけ簡単にしてから,数値を代入する。

 

例題
  1. \(\:a = 2, b = -3\) のとき,次の式の値を求めなさい。
    ① \(\:(5a + 6b)\:-\:(3a+2b)\)
    ② \(\:(a^2 + 5b + 3)\:-\:(a^2 – b + 3)\)
    ③ \(\:(-6a)^2 × (2ab^2) ÷ 3ab\)
  2. \(\:x\:=\:\frac{1}{2},\;y\:=\:-2\) のとき,次の式の値を求めなさい。
    ① \(\:4x^2y÷2x+xy\)
    ② \(\:\frac{x^2y^2}{4}÷\frac{xy^2}{2}\times2y\)
    ③ \(\:\frac{1}{4}(2x\:-\:3y)+\frac{3}{8}(4x+5y)\)

 

解答
  1. 文字式を簡単にしてから値を代入する。
    ① \(\:(5a + 6b)\:-\:(3a + 2b)\)
    \(\;\;= 5a+6b\:-\:3a\:-\:2b\)
    \(\;\;= 5a\:-\:3a+6b\:-\:2b\)
    \(\;\;= 2a + 4b\)
    \(\;\;\;\;(a = 2, b = -3\:を代入すると,)\)
    \(\;\;= 2×2 + 4×(\:-3)\)
    \(\;\;= 4\:-\:12\)
    \(\;\;=\:-8\)
    ② \(\:(a^2+5b+3)\:-\:(a^2\:-\:b+3)\)
    \(\;\;= a^2+5b+3\:-\:a^2+b\:-\:3\)
    \(\;\;= a^2\:-\:a^2+5b+b+3-3\)
    \(\;\;= 6b\)
    \(\;\;\;\;(b = -3\:を代入すると,)\)
    \(\;\;=6×(-3)\)
    \(\;\;=\:-18\)
    ③ \(\:(-6a)^2\times (2ab^2)÷3ab\)
    \(\;\;=\frac{36a^2\times (2ab^2)}{3ab}\)
    \(\;\;=24a^2b\)
    \(\;\;\;\;(a = 2, b = -3\:を代入すると,)\)
    \(\;\;=\:24\times (2)^2\times (-3)\)
    \(\;\;=\:24\times 4\times (-3)\)
    \(\;\;=\:-288\)
  2. 文字式を簡単にしてから値を代入する。
    ① \(4x^2y÷2x + xy\)
    \(\;\;= \frac{4x^2y}{2x} + xy\)
    \(\;\;= 2xy + xy\)
    \(\;\;= 3xy\)
    \(\;\;\;\;(x=\frac{1}{2}, y= -2\:を代入すると,)\)
    \(\;\;= 3\times \frac{1}{2}\times (-2)\)
    \(\;\;= -3\)
    ② \(\frac{x^2y^2}{4}÷\frac{xy^2}{2}\times 2y\)
    \(\;\;= \frac{x^2y^2}{4}\times \frac{2}{xy^2}\times 2y\)
    \(\;\;= \frac{x^2y^\times 2\times 2y}{4xy^2}\)
    \(\;\;= xy\)
    \(\;\;\;\;(x=\frac{1}{2}, y= -2\:を代入すると,)\)
    \(\;\;= \frac{1}{2}\times (-2)\)
    \(\;\;=\:-1\)
    ③ \(\frac{1}{4}(2x\:-\:3y)+\frac{3}{8}(4x+5y)\)
    \(\;\;= \frac{1}{2}x\:-\:\frac{3}{4}y+\frac{3}{2}x+\frac{15}{8}y\)
    \(\;\;= 2x+\frac{9}{8}y\)
    \(\;\;\;\;(x=\frac{1}{2}, y= -2\:を代入すると,)\)
    \(\;\;= 2\times \frac{1}{2} + \frac{9}{8}(-2)\)
    \(\;\;= 1\:-\:\frac{9}{4}\)
    \(\;\;=\:-\frac{5}{4}\)

 

文字式の利用

ここでは,文章問題を文字式を使って,いろいろな事項の問題を解いてみます。

自然数や整数の表現

【基礎知識】
・ m, n を整数とすると,m + n, m – n, m × n は整数。
・ nを整数とするとき,偶数は 2n, 奇数は 2n+1 (または 2n – 1)と表すことができる。
・ 2つ偶数の和,差,積は偶数。
・ 偶数と奇数の和,差は奇数,積は偶数。
・ 2つの奇数の,和,差は偶数,積は奇数。
・ 連続した2つの自然数は,{ n, n+1 } (nは自然数)と表すことができる。

 

例題
  1. 2つの異なる奇数の差は偶数になることを説明しなさい。
  2. 連続する3つの偶数の和は6の倍数であることを説明しなさい。
  3. 4桁の整数は,各桁の数値を足した数が3の倍数なら,元の4桁の整数は3の倍数であることを説明しなさい。
  4. ある製品を定価の\(\:a\:\)% 引きの\(\:b\:\)円で売っています。この製品の定価を\(\:a,\:b\:\)を使って表しなさい。

 

解答
  1. 2つの奇数を 2n+1 と 2m+1 (ただし,n, m は整数で n < m とする) で表す。
    すると,2つの整数の差は,
    (2m + 1) – (2n + 1) = 2(m – n)
    となり,m, n はともに整数であるので m – n も整数である。
    したがって,2つの整数の差 2(m – n) は偶数である。
  2. 連続する3つの偶数を整数 n を使って
    2n-2, 2n, 2n+2 とすると,
    これら3つの偶数の和は,(2n-2) + 2n + (2n+2) = 6n となり,
    6の倍数になる。
    ※ 連続する3つの偶数を 2n, 2n+2, 2n+4 としても
    ※ 同様の方法で説明できます。(6でくくれます。)
  3. 4桁の整数の千の位の値を a,百の位の値を b,十の位の値を c,一の位の値を d とすると,
    元の4桁の整数は,1000a + 100b + 10c + d で表される。
    また,条件より,a + b + c + d = 3k (kは整数) … ① である。
    1000 × a + 100 × b + 10 × c + d
    = 999a + 99b + 9c + (a + b + c + d)
    = 3(333a + 33b + 3c + k) (← ① より)
    したがって,元の4桁の数は3の倍数である。
    ※ 今,4桁の整数の場合で説明しましたが,
    ※ 実は,このことは桁数には依存しません。
  4. 製品の定価を\(\:x\:\)円とすると,値段の\(\:a\:\)%は,
    \(\;\frac{ax}{100}\:\)円であるので,この製品の\(\:a\:\)%引きの値段は,
    \(\;x-\frac{ax}{100}\:=\:(1\:-\:\frac{a}{100})x\:=\:\frac{100\:-\:a}{100}x\) 円であり,
    これが,\(b\)円であるので,
    \(\;\frac{100\:-\:a}{100}x\:=\:b\)
    両辺に\(\frac{100}{100-a}\:\)をかけて,(ここで,a ≠ 100)
    \(x\:=\:\frac{100b}{100-a}\) (円)

図形に関する表現

図形の面積や体積などを,文字式で表してみます。

【基礎知識】
・ 長辺の長さが \(x\),短辺の長さが \(y\) の長方形の面積は \(xy\)。
・ 直交する辺の長さが \(x, y, z\) の直方体の体積は \(xyz\),表面積は。\(2(xy+yz+zx)\)。
・ 直径 \(x\) の円周の長さは \(\pi x\),円の面積は \(\frac{\pi x^2}{4}\)。
・ 底面の半径が \(r\),高さが \(h\) の円柱の体積は \(\pi r^2h\),表面積は。\(2\pi r(r+h)\)

 

例題
  1. 正方形の1辺の長さを2倍にすると,正方形の面積は何倍になりますか。
  2. 立方体の1辺の長さを2倍にすると,立方体の体積は何倍になりますか。
  3. 底面の半径が \(r\),高さが \(h\) の円すいの体積を \(r と h\)を使って表しなさい。ただし,円周率は \(\pi \)とします。
  4. 半径 \(r\) の球の体積と,表面積を \(r\) を使って表しなさい。ただし,円周率は \(\pi \)とします。
解答
  1. 正方形の1辺の長さを \(a\) とすると,その面積は,\(a^2\)。
    1辺の長さを2倍の \(2a\) にすると,その面積は,\((2a)^2\:=\:4a^2\) であるので,
    正方形の1辺の長さを2倍にすると,正方形の面積は 4倍になる。
  2. 立方体の1辺の長さを \(a\) とすると,その体積は,\(a^3\)。
    1辺の長さを2倍の \(2a\) にすると,その体積は,\((2a)^3\:=\:8a^3\) であるので,
    立方体の1辺の長さを2倍にすると,立方体の体積は 8倍になる。
  3. 円すいの体積は,「底面積×高さ÷3」で表されるので,
    \(\frac{\pi r^2h}{3}\) である。
  4. 球の体積は,「\(4\times 円周率\times 半径^3 ÷ 3\:\)」,
    表面積は,「\(4\times 円周率\times 半径^2\:\)」で表されるので,
    \((球の体積)\:=\:\frac{4\pi r^3}{3}\)
    \((球の表面積)\:=\:4\pi r^2\)