一次関数

\(\)二つの変数\(x\)と\(y\)があり,\(x\)の値と\(y\)の値の間に規則性があり,\(x\)の値が決まると,同時に\(y\)の値がただ一つ決まるとき,\(y\)は\(x\)の関数であるという。\(y\)が\(x\)の一次式で表せるとき,\(y\)は\(x\)の一次関数であるという。\(y\)が\(x\)の一次関数のとき,\(x\)と\(y\)は次の関係式で表される。

【一次関数の式】\(y\:=\:ax+b\;\;\) (\(a,\:b\:\)は定数で,\(a≠0\))

このとき,\(a\)は,\(x\)に対する\(y\)の変化の割合を示しており,\(x\)が\(1\)増えると,

\(\begin{eqnarray} y\:は\:a\:だけ\:\begin{cases} 増える。(a\:>\:0\:の場合) \\ 減る。(a\:<\:0\:の場合) \end{cases} \end{eqnarray} \)

また,\(b\:=\:0\)のとき,\(y\)は\(x\)に比例する。

例題
  1. 横が縦より\(\:5\:cm\:\)長い長方形の縦の長さを\(\:x\:cm\:\),周囲の長さを\(\:y\:cm\:\)として,\(\:y\:\)を\(\:x\:\)の式で表しなさい。
  2. 1個\(\:60\:\)円のりんごを\(\:x\:\)個買って,\(10000\:\)円払ったときの,おつりの金額\(\:y\:\)を\(\:x\:\)の式で表しなさい。
  3. 二等辺三角形の頂角を\(\:x\:\)度,底角を\(\:y\:\)度としたとき,\(\:y\:\)を\(\:x\:\)の式で表しなさい。
解答
  1. 長方形の周囲の長さ=(縦の長さ+横の長さ)×2   であるので,
    \(y\:=\:\{x+(x+5)\}\times 2\:=\:4x+10\)
    ※\(\:x\:\)が\(\:1\:\)増えると,\(\:y\:\)は\(\:4\:\)増える。
  2. おつりの金額=払った金額ーりんごの代金   であるので,
    \(\begin{eqnarray} y\:&=&\:10000\:-\:60x \\ &=&\:-60x + 10000 \end{eqnarray} \)

    ※\(\:x\:\)が\(\:1\:\)増えると,\(\:y\:\)は\(\:60\:\)減る。
    \(\:x\:\)が\(\:167\:\)以上になると,\(\:y\:\)の値は負になるので,本問題では暗に\(\:x\:\)が\(\:166\:\)以下であることを条件にしています。問題によっては,暗黙の条件を見出す必要があります。

  3. 三角形の内角の和は180°で,二等辺三角形の底角は等しいので,
    \(\begin{eqnarray} x+2y\:&=&\:180 \\ y\:&=&\:-\frac{1}{2}x+90 \end{eqnarray} \)

1次関数のグラフ

1次関数(\(\:y\:=\:ax+b\:\)のグラフは,傾きが\(\:a\:\),\(y\:\)切片が\(\:b\:\)の直線になります。以下に,いくつかのグラフを示します。

傾き\(\:a\:\)が正の値であるものは右上がり(グラフ1),傾き\(\:a\:\)が負の値であるものは右下がり(グラフ2)になります。グラフ3は,傾きや y切片の値が異なる3つのグラフを示しています。これらの交点の座標は,それぞれの連立一次式の解になります。たとえば,
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{1} y&=&x\:-\:3\;\dots\;① \\ y&=&2x+10\;\dots\;② \\ y&=&-\frac{1}{2}x+10\;\dots\;③ \end{array} \right. \end{eqnarray} \)
において,直線①と直線②の交点の座標は,連立方程式①,② の解になります。

上のグラフを見てわかるように,傾きが同じグラフは平行になります。そのため,
「点(\(p,\:q\))を通り,\(y\:=\:2x + 4\) に平行なグラフをかきなさい。」
という問題について,求めるグラフの傾きは,平行なグラフの傾きと同じになり,そのグラフの式は,\(y\:=\:2x + b\) と表すことができ,この式に\(x\:=\:p,\:y\:=\:q\)を代入することで,定数\(b\)を求めて,\(y\)切片を求めます。

例題
  1. 次の一次関数のグラフをかきなさい。
    ① \(y\:=\:2x+3\)
    ② \(y\:=\:-\frac{1}{3}+1\)
  2. 点(\(-2,\:4\))を通り,\(y\:=\:-\frac{1}{2}x+6\:\)に平行なグラフをかきなさい。
  3. 2点(\(3,\:1\)), (\(-5,\:-1\)) を通る直線の式を求めなさい。
  4. 前出の,3式
    \(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{1} y&=&x\:-\:3\;\dots\;① \\ y&=&2x+10\;\dots\;② \\ y&=&-\frac{1}{2}x+10\;\dots\;③ \end{array} \right. \end{eqnarray} \)
    で囲まれた三角形の面積を求めなさい。

 

解答
  1. 【解法1】
    求める直線の式を\(y\:=\:ax+b\)とおき,これに2点の座標値を代入する。
    \(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{1} 1&=&3a+b\;\dots\;① \\ -1&=&-5a+b\;\dots\;② \end{array} \right. \end{eqnarray} \)
    ①-②より,\(2\:=\:8a\:⇒\:a\:=\:\frac{1}{4}\)
    \(a\:\)の値を①に代入して,\(1\:=\:\frac{3}{4}+b\:⇒\:b\:=\:1\:-\:\frac{3}{4}\:=\:\frac{1}{4}\)
    したがって,求める式は,\(y\:=\:\frac{1}{4}x+\frac{1}{4}\)

    【解法2】

    求める式の傾きは,\(\frac{yの変化量}{xの変化量}\:=\:\frac{1-(-1)}{3-(-5)}\:=\:\frac{2}{8}\:=\:\frac{1}{4}\)であるので,
    求める式は,\(y\:=\:\frac{1}{4}x+b\)とおける。これに,座標値(3, 1)を代入して,
    \(1\:=\:\frac{1}{4}\times 3 + b\:⇒\:b\:=\:\frac{1}{4} \)
    したがって,求める式は,\(y\:=\:\frac{1}{4}x+\frac{1}{4}\)
  2. 直線①と②の交点Aの\(x\)座標を求める。
    [②-①] より,\(0\:=\:x+13\:⇒\:x\:=\:-13\)
    直線①と③の交点Bの\(x\)座標を求める。
    [①-③] より,\(0\:=\:\frac{3}{2}x\:-\:13\:⇒\:x\:=\:\frac{26}{3}\)
    直線②と③の交点Cの座標は,C(\(0,\:10\))であり,
    直線①の\(\:y\:\)切片Dの座標は,D(\(0,\:-3\))である。

    (△ABCの面積) = (△ADCの面積) + (△DBCの面積)であり,
    (CDの長さ) = \(10\:-\:(-3)\:=\:13\:\)であるので,

    \(\begin{eqnarray} (△ADCの面積) &=& (CDの長さ;底辺) × (点Aのx座標の絶対値: 高さ) ÷ 2 \\ &=& 13\times 13 ÷ 2 \\ &=& \frac{169}{2} \end{eqnarray} \)
    \(\begin{eqnarray} (△DBCの面積) &=& (CDの長さ:底辺) × (点Bのx座標: 高さ) ÷ 2 \\ &=& 13\times \frac{26}{3} ÷ 2 \\ &=& \frac{169}{3} \end{eqnarray} \)
    したがって,
    \(\begin{eqnarray} (△ABCの面積) &=& \frac{169}{2} + \frac{169}{3} \\ &=& 169\times (\frac{1}{2}+\frac{1}{3}) \\ &=& 169\times \frac{3+2}{6} \\ &=& \frac{845}{6} \end{eqnarray} \)