円周角・中心角・弦

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円 O の円周上の異なる 3点 A, B, C に対して,点C から点A および 点B に線分を引く。
また,中心 O から,点A および 点B に線分を引く。
このとき,
\(\angle ACB\:を\:\stackrel{\Large \frown}{AB}\:\) に対する円周角,
\(\angle AOB\:を\:\stackrel{\Large \frown}{AB}\:\) に対する中心角,
線分ABを弦という。

なお,上図のように,\(\stackrel{\Large \frown}{AB}\) は,円周上の長い方,短い方のいずれでも,または,3点A, O, B が直線上(直径上)にあっても,本ページで示す定理等は成り立ちます。

 

円周角の定理

  • 1つの弧に対する円周角の大きさは,その弧に対する中心角の大きさの半分である。
  • 同じ弧に対する円周角の大きさは等しい。
  • この定理はABが直径上(AOBが一直線)にあるときも成り立ち,このとき,∠AOBは180°で,その時の円周角は 90° である。

 

円周角の定理の逆

図のような配置で,異なる 4点 A, B, C, D があり,
\(\;\;\angle ACB\:=\:\angle ADB\) のとき,4点 A, B, C, D は同一円周上にある。

 

円に内接する四角形

円に内接する四角形の角度

  • 円に内接する四角形の対角の和は 180° である。
    → a + c = 180°, b + d = 180°
  • 円に内接する四角形の外角は,対角(内角)に等しい。
    → a の外角は c の角度と同じ。
証明

ここでは,a + c = 180 を説明(証明)します。
\(円周角:\angle a\: に対応する中心角は\:\angle x\)
\(円周角:\angle c\: に対応する中心角は\:\angle y\)
であるので,
\(a\:=\:\frac{x}{2},\:c\:=\:\frac{y}{2}\:\)。
この2式を足すと,\(a\:+\:c\:=\:\frac{x + y}{2}\) であるが,
\(x + y\:=\:360°\:\)であるので,\(a + c\:=\:180°\)

 

 

円と直線

円と接線

図のように,円の外側の 1点P から円の接線を2本引いた時,点P と 接点A, B の長さは等しい。( AP = BP )

 

方べきの定理

図のように,円周上の点 A, B, C, D, T がある。
【パターン1】と【パターン2】は,点Pを通る2本の割線(円との交点が2点ある線)を引いたもの。
【パターン3】は,点Pが円の外部にあり,Pを通る接線とPを通る割線を引いたもの。
このとき,PA, PB, PC, PD, PT の長さには,次の関係が成り立ちます。
\(PA\times PB\:=\:PC\times PD, または,PA\times PB\:=\:PT^2\)
証明
【方針】
【パターン1】と【パターン2】は,\(\triangle PAC\) ∽ \(\triangle PDB\),【パターン3】は,\(\triangle PAT\) ∽ \(\triangle PTB\) を示して,それぞれ,辺の長さの比から上記の等式を示します。
【証明】
【パターン1】
\(\triangle PAC\:\)と\(\triangle PDB\:\)において,円に内接する四角形の外角の大きさは,その頂点に対する対角の大きさに等しい(「円に内接する四角形の角度」参照)ので,
\(\;\;\angle PAC\:=\:\angle PDB\)
\(\;\;\angle PCA\:=\:\angle PBD\)
2組の角がそれぞれ等しいので,\(\triangle PAC\:\)∽\(\triangle PDB\)
よって,\(PA\::\:PC\:=\:PD\::\:PB\) となり,
\(PA\times PB\:=\:PC\times PD\)
【パターン2】
\(\triangle PAC\)と\(\triangle PDB\:\)において,同じ弧に対する円周角は等しいので,
\(\;\;\angle PAC\:=\:\angle PDB\)
\(\;\;\angle PCA\:=\:\angle PBD\)
2組の角がそれぞれ等しいので,\(\triangle PAC\:\)∽\(\triangle PDB\)
よって,\(PA\::\:PC\:=\:PD\::\:PB\) となり,
\(PA\times PB\:=\:PC\times PD\)
【パターン3】
\(\triangle PAT\)と\(\triangle PTB\)において,接弦定理より,\(\angle PTA\:=\:\angle PBT\)
共通の角であるので,\(\angle TPA\:=\:\angle BPT\)
2組の角がそれぞれ等しいので,\(\triangle PAT\:\)∽\(\triangle PTB\)
よって,\(PA\::\:PT\:=\:PT\::\:PB\) となり,
\(PA\times PB\:=\:PT^2\)

 

 

接弦定理

接線と弦のなす角は,その弦に対する円周角に等しい。
図で説明すると,
\(\angle BAE\:=\angle ACB\)
\(\angle CAD\:=\:\angle ABC\)
証明
[方針] 接線と弦の角度が鋭角の場合,直角の場合,鈍角の場合に分けて証明します。

[接線と弦のなす角度が鋭角の場合] 図の緑色の角の場合です。
図のようにAFが直径となるように点Fをとると,線分AFは円の直径であるので,
\(\angle ABF\:=\:90°\) [直径の円周角は直角] 三角形の内角の和は 180°であるので,
\(\angle FAB + \angle AFB + \angle ABF \:=\: 180°\) より,
\(\angle FAB\:=\:90°-\angle AFB\)… ①
また,直線DEは円の接線であるので,
\(\angle EAF\:=\:90°\)
\(\angle FAB\:=\:\angle EAF – \angle BAE\:=\: 90° – \angle BAE\)… ②
①,②より,\(\angle AFB\:=\:\angle BAE\)
円周角の定理より,\(\angle AFB\:=\:\angle ACB\)
したがって,\(\angle ACB\:=\:\angle BAE\)
[接線と弦のなす角度が直角の場合]
直径を弦とする弧の円周角になり,この場合は円周角は直角になる。
[接線と弦のなす角度が鈍角の場合] 図の黄色の角の場合
\(\angle BGA\)は,四角形AGBCの点Cに対角になるので,
\(\angle BGA\:=\:180° – \angle BCA\) … ③
接線と弦のなす角度が鋭角の場合に証明済みの,
\(\angle BCA\:=\:\angle BAE\) であるので,
③は次のようになる。
\(\angle BGA\:=\:180° – \angle BAE\) … ④
また, \(\angle DAB + \angle BAE = 180°\) より,
\(\angle DAB\:=\:180° – \angle BAE\) … ⑤
④,⑤より,\(\angle BGA = \angle DAB\)