2019 (H31) 北海道 高校入試 理科 大問 5
5 問1
(1) 平均の速さは,「移動距離」÷ 「経過時間」で表す。記録タイマーは,1秒間に 50回打点するので,1打点の間隔は,\(\frac{1}{50}\)秒であり,0打点から5打点までの経過時間は,\(\frac{1}{50}(秒/打点)\times 5(打点)\:=\:\frac{1}{10}\:\)秒である。
この経過時間(\(\frac{1}{10}秒\))に,\(3.5cm\)動いたので,平均の速さは,
\(\;\;3.5(cm)÷\frac{1}{10}\:=\:35 \:cm/秒\)
である。→ エ (答)
(2) 表のように,等加速度運動では,距離の差の差が等しくなります。
→ 「距離の差の差」は一定。(距離の差の差は,平均の加速度 → 等加速度運動)
→ 単位時間当たりの「距離の差」(平均の速度)は時間に比例して大きくなる。
→ 表の 打点数が 35 の時点の各欄を,埋めていきます。
→ 「距離の差の差 は,2.7」,「距離の差は,17.7 + 2.7 = 19.7」
→ 「距離は,61.5 + 19.7 = 81.2 → エ (答)」・・・(答)
距離の差がだんだん大きくなっており(単調増加)、表の一番右側では、17.0 であるので、35打点のところでは、距離の差は,17.0 より大きな値になることが予測される。61.5 + 17.0 = 78.5 であり、これよりも大きな値が答え(距離)になる。問題の選択肢をみると、78.5より大きい値は、エの81.2 cm だけであるので、上記の距離の差の差が判らなくても、本問題の解答は可能です。!!
ちなみに,上記の距離の差は0.1秒あたりの平均速度であり,t秒後の平均速度は,27t+3.5(cm/0.1s)=270t+35(cm/s)となる。この値と運動方程式から求めた瞬間速度は少し異なり,270t+48.5(cm/s)となり,初速度=48.5(cm/s),加速度=270(\(cm/s^2\))を得る。t秒後の位置(X)は,\(X\:=\:135t^2+48.5t+3.5\)となり,これにt=0.6を代入して,81.2 (エ) が導き出せます。
(3) 問題文は、一見、何か複雑なことをやっていそうですが、結局は、動き始めの位置を少し下にしたとき、経過時間と速さの関係はどうなるかを問うています。
台車に働く力は重力のみであり、高さによって重力の大きさは変わらないので、上述の経過時間と速さの関係は変わりません。
→ (2)の表の「距離」が30.2 cm のところの打点数を求めればよいことになりますので,答は,イの20打点目。
※ 厳密には、高さが違うと重力による力の大きさは変わりますが、本実験のような高さの違いでは、力の大きさの違いはほぼ0で、誤差範囲と考えてよいです。
5 問2 この問題も、複雑そうなことが書かれていますが、要は、角度の違う斜面において、斜面方向の力はどのような違いがあるか、それにより、台車の移動の仕方はどのような違いが出るかを問うています。力の作用の概念が分かっていれば解ける問題です。
ここでは、わかりやすく、下図のように角度が大きく異なる斜面を考えます。
(1) 台車Ⅰの方が斜面方向に大きな力を受け、速さの増え方も大きい。
→ ① ア
台車Ⅱの方が遅い(速さの増え方が小さい)ので、下まで移動するのに時間がかかる。
→ ② イ
(2) 同一斜面では位置に関係なく、働く力は同じであるので、FA = FD
斜面の角度が大きい程(台車Ⅰの方)、斜面方向に働くちからが大きいので、FD > FP
したがって、答えは ア
(3) 位置エネルギー + 運動エネルギー は、一定である ことを元にした問題です。
元の合計のエネルギー量(A点における台車Ⅰの位置エネルギー、P点における台車Ⅱの位置エネルギー)は同じで、これをEとすると、
点Bにおける台車Ⅰの位置エネルギーは \(\frac{2}{3}E\:\), 運動エネルギーは \(\frac{1}{3}E\:\)
点Qにおける台車Ⅱの位置エネルギーは \(\frac{1}{2}E\:\), 運動エネルギーは \(\frac{1}{2}E\:\)
点Qにおける台車Ⅱの運動エネルギー ÷ 点Bにおける台車Ⅰの運動エネルギー
\(= \frac{1}{2}E ÷ \frac{1}{3}E\:=\:\frac{3}{2}\:=\:\) 1.5 (倍)